令和6年度に、国際ファッションセンター(株)は、東京ニットファッション工業組合(以下「TKF」)がメンバー5社向けに対し、墨田区の資源循環地域連携補助事業を活用して行ったCO2排出量可視化を支援しました。
2025年7月8日に、墨田区主催の実績報告会があり参加しました。まず、今回TKFでCO2排出量の可視化を行ったその背景につき説明させていただきます。繊維業界全体では、原材料調達から製造、輸送、販売、使用、廃棄までの各過程でCO2を排出しております。製造過程、染色や加工には大量のエネルギーが必要ですし、最近は海外素材・海外縫製も多く、輸送でもCO2を排出します。さらに、ファストファッションにより、短期間で流行が変わり、衣料品の廃棄も問題となっています。これらにより、繊維業界として、省エネ・再エネ化、サステナブルな素材の活用、サプライチェーンの最適化が求められています。
取り組みとして、まず自社で取り組めることは、一つに、(1)再生可能エネルギーの活用、これは、製造工場や社屋での太陽光発電の導入であったり、再生可能エネルギー由来の電力調達などです。また、二つ目に、(2)オリジナルブランドを展開している場合は、持続可能な素材の採用、例えば、オーガニックコットン、リサイクルポリエステルの活用などです。
次に、自社だけでなく、自社と他社で取り組めることがあります。まず、(3)サプライチェーン内での脱炭素化、つまり、脱炭素を意識した物流や、サプライヤーと協力した低炭素生活の推進、などです。さらに、(4)循環型経済の構築として、古着の回収による利活用や、廃棄される繊維の再利用や再生利用などです。
繊維業界としましては、製造・物流・消費・廃棄の各段階で脱炭素化が求められています。そのためには、これからどうするかといいますと、まず、第一に、自社のCO2排出量を可視化・把握し、現状を理解すること。次に、削減目標の計画を策定し、そして、具体的にできる取り組みから実行していくこと、となります。これらに沿い、脱炭素経営の第一歩としました、CO2排出量の可視化を行いました。
具体的に何をしたかは、自社の排出量を確認し、次のアクションを把握する、ということを行いました。総合商社・三井物産の100%子会社で、CO2排出量可視化クラウドサービスを行っているe-dash(株)の協力を得て進め、Scope1(自社における直接排出)とScope2(自社が購入・使用した電力、熱、蒸気などのエネルギー起源の間接排出)のGHG(温室効果ガス)排出量を算出しました。
電気・ガス・ガソリン等の請求書に記載されています「使用量」をクラウドサービスにアップロードすると、e-dashのサービスが排出係数を掛け合わせ、GHG排出量を算定してくれます。請求書のアップロードは、スマホなどで請求書の写真を撮り、クラウドサービスに載せるだけで大丈夫です。
今回、実際にCO2排出量可視化を行いました具体的な数値に基づき、削減手段の提案をいただきました。
今後、中小企業版SBT(Science Based Targets)などの認定も含め、具体的な目標に沿って、削減を進めていく、ということになります。
以上、今回は、繊維業界の背景に基づき、クラウドサービスを利用して、脱炭素化の第一歩、CO2排出量の可視化を行ったことを報告させていただきます。