ZoomUpフレンズ
代表者 | 橋本 大佑(ドイツ障がい者スポーツ協会リハビリテーションスポーツ指導員) |
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創業 | 2013年 |
住所 | 東京都墨田区横網1-6-1 KFCビル10F KFCクリエイティブスタジオ2 |
ホームページ | https://www.facebook.com/fusenasobi |
事業内容 | ①風船を使った新規プログラムの開発、普及 ②風船を使ったイベントの企画、運営 ③ふうせんバレーの普及、備品開発 ④障害者福祉に関する事業 |
KFC:事業を始められる前はどのようなお仕事をされていたのですか。
橋本さん:仕事はいろいろしていましたが、ここに行きつくまでの経緯としては、大学では障害児教育を専攻していて、目の見えない障害児に理科を教えていました。普通は理科実験なんてやらせないじゃないですか、危険だ、なんて言って。押えるとこ押えとけば全然危なくないんですけどね。
で、出来ないと思っていたことが出来た、って瞬間にその人ってすごく変わるんですよ。
理科実験が出来た後に、数学の成績があがったりして、何事にもやる気が出てくる。そういう成功体験のきっかけを自分はどうやって提供していくか考えたわけです。そうなると理科って理科室でしか出来ないっていうのが自分の結論で、スポーツボランティアをやってみたらすごく良かったんです。それをきっかけに障害者スポーツで何かできないかを探しました。
でも日本の障害者スポーツって技術ばっかりに目が行っていて、やる気を引き出すとか、動機づけをするとかが二の次になっていて、日本ではやりたいことがないと感じていました。
海外に住んでみたいという気持ちもあってドイツに行きました。なんでドイツかというと、ドイツは障害者スポーツ人口がすごく多くておよそ65万人と言われています。私が行ったルール工業地帯には障害者を受け入れるスポーツ施設が1800あるのに対して東京には108しかない。何かがあるはずと思い、ドイツに行きました。言語は死ぬ気で2か月で覚えました。
いろんな所に出向き、ストローケンデル氏に出会いました。彼はドイツの障害者スポーツの権威で車いすバスケの第一人者でした。日系の企業で働きながら彼の下で障害者スポーツに関するあらゆることを学びました。そこで障害者リハビリテーションスポーツ指導員の資格も取ることも出来ました。
ストローケンデル氏とはまだ交流があって、彼を講演なんかで日本に呼ぶときは私が窓口になっています。今年も9月に来日する予定です。
で、2009年に日本に帰ってきてふうせんバレーっていう素晴らしいスポーツと出会い、これが一番自分のやり方を実現しやすいと思いました。重度の障害者の方とかが弾むボールを打ってあの高いネットを超えた、っていうのは非常に良い成功体験なんです。すぐにふうせんバレーの協会に入り、1年後に理事になりました。その後、2013年に一般社団法人ふうせん遊び協会を設立しました。
KFC:この事業を始めたきっかけは?
橋本さん:風船屋さん(マルサ斉藤ゴム)と障害者スポーツ、風船を使った障害者向けプログラム作りをしていた橋本が出会い、始めました。
マルサ斉藤ゴムとの出会いは、ふうせんバレーをやっている中で、この風船が本当にいいものかどうか、もっといい風船があるのではないか、と思い始めていろいろ調べました。で、結論から言うとずっと使っていた風船が一番良かったんですが。
その風船を作っていたメーカーさんがマルサ斉藤ゴムと判って、そこに出向いたのが最初でした。当時、風船を買っていたのは問屋さんからだったので、マルサ斉藤ゴム自身は何に使っているか知らなかったんですよ。
KFC:なぜ、風船なのでしょうか?
橋本さん:風船は成功体験とその追体験をするのに一番良いと思いました。特に子供は風船が大好きです。そこでまずハードルが下がりますよね。あと、風船は簡単に加工できる、このタコくんなんてやり方さえ教われば誰でも作れますよ。どんな人でも扱えて、それなりに達成感を得られるものだと思います。
KFC:ふうせんバレーについて。
橋本さん:ふうせんバレーの団体って日本にたくさんあるんです。風船を使ってスポーツやろうってなると大体バレーボールになってしまうので。うちで取りくんでいるふうせんバレーは障害の有る無しに関わらず、子供から高齢者まで一緒に楽しめるスポーツ、っていうコンセプトで始まったものです。
ふうせんバレーはしっかりしたルールブックあるんですが、色々考え方があって、うちは競技をすることが目的ではない。成功体験だったり仲間を作ったりするのに重きを置いています。
日本は何かと競技にしたがるクセがあって、学校体育が競技なんで仕方ないんですが、スポーツを新しく作った人って大体は大会をやりたがるんです。
入居者同士の交流で異業種との情報交換やコラボレーションが生まれます。
KFC:新しい事業をはじめられたようですね。
橋本さん:今もKFCクリエイティブスタジオに入居しているエドエックス・ラボさんとのコラボ事業でして、「UExL(ユニバーサル・エクスペリエンシャル・ラーニング)」という体験型学習で企業研修をしてもらおうという新しいメソッドを開発しました。そのままユニバーサル・エクスペリエンシャル・ラーニング協会、って言います。先日、発表の場としてHumanCapital2015という企業の人材関連のイベントに出展しました。
中小企業診断士と障害者スポーツ指導員、普通は出会わないですよ。この施設に入居したからこそ、だと思います。それでも、この施設に入居している会社同士が事業提携するのは今まで無かったと思いますね。ということもあって大々的に宣伝していただきたいです。
私がドイツで持っている資格がリハビリテーションスポーツ指導員って言うものですが、具体的には障害者を継続参加させるのが仕事です。障害者の方は地域のスポーツイベントに参加しても継続率は低いんです。それを限りなく10割に近づけることです。
障害者の方って、自分で行こうと思っても中々出向いてくれない。医者が行けって言ったり、家族に連れてきてもらったり、リハビリ仲間に誘われたり、そういう理由がないとなかなか参加されない。
何か新しいチャレンジをすることで傷つくんじゃないかと思っている。少しでもうまくいかないことが起こると年単位で来なくなるんです。継続参加させるには、まずはその人たちの不安を取り除くアプローチをします。出来ないことが出来た体験を入れてあげる。その中で自発的に動く動機づけを引き出し最低限の技術を身につけてもらう。参加する集団の中にも色んな人がいます。多様な人が集まる時に皆が主体的に集まる場を作るっていうのが仕事です。
あとは、新しい人が入ってきた時に、不安の中で入ってきた人が変わっていくことに喜びを感じる集団を作らないといけない。競技のことばっかり考えると初心者が入ってきて、あいつが入ると勝てない、なんて思っちゃう。何か心理的、肉体的に不安があって既存の集団に入れない人に対して個別のアプローチをして集団に最低限参加できる環境を作って、集団の中でチームビルディングをしていきます。
これってまさに企業にも使えるんですよ。最近は体験型学習が流行っていて、これの目標って大きくは1つで「多様性の理解」なんです。全く違うことをやることで色んな状況の人とその場を何とかおさめる、っていう体験をスポーツ、だとか何でもいいんですが、その体験の中で多様性の理解を深める。
今って多様性を理解しないと売れない、って言われている時代で、拡大生産していればいい時代ではなくなっています。業務効率化やればいいっていう流れもつまってきました。じゃあ新しいことをやろうと思ったら、今までに無い発想をしなければいけない。そのためには他の人の意見を取り入れるっていうアプローチが必要です。体験型学習を通して多様性を理解し、ビジネスに結び付けていく研修をしようとしています。
KFC:KFCクリエイティブスタジオに入居していて良かった点などございますか?
橋本さん:ここは他の起業家さんとの繋がりが出来る点ですね。単独で事務所を構えるのとは違いますよね。仲良くなったところとは、ここで開催されるセミナー等を通じて知り合えましたし、創業支援の仲間がそばにいて、その中で情報交換しながらできたのは良かったです。
立ち上げの初期投資費用が一番かかる時期に、家賃(正確には管理費。家賃は無料)がここまでに収まったっていうのも大きいですね。あとは墨田区に繋がりが出来て、今度の研修の件もご支援いただいています。何かやりたいときも他の区の方を紹介していただいたりして非常にお世話になっています。すごく環境としてはいいと思います。
KFC:これから起業する方に、ご自身の経験を踏まえて、アドバイスなどございましたらお願いします。
橋本さん:これは最近分かったのですが、自分のマンパワーは有限です。私は気づくのに1年半かかったんですが、一人で始めてお金もないから全部自分でやらないといけない、と思っていた。今思えば色んなものが中途半端だった。逆にこれしか出来ません、他の部分はお金出してもいいから他の人にやってもらいますよ、っていう風に切り替えてから不思議と仕事が増えてきたんです。
2015年9月22日(火)
八広地域プラザ「吾嬬の里」体育館・大会議室
前述のストローケンデル先生の来日が決定しました。
「障がい児・者の運動導入に関する研修会」を開催します。
https://watav.com/event/detail/32611
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