ZoomUpフレンズ
代表者 | 菅野嘉則 |
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住所 | 東京都墨田区横網1-6-1 KFCビル10F KFCクリエイティブスタジオStudio8 |
ホームページ | http://tobae.com/ |
事業内容 | ソフトウェア開発 |
メールアドレス | info@genseisha.com |
◆KFC: CG(コンピューターグラフィックス)を用いた映像制作とソフト開発が主なお仕事とお伺いしましたが、起業前は何をされていたんですか?
◆菅野さん: 以前はTV局に務めていました。もともと「コンピューターを使って映像を作りたい」という思いがあってTV局に入社し、15年ほど映画や番組制作に携わった後、番組制作とは違うアプローチでCGを活用しようと独立しました。
◆KFC: CGや映像の世界に興味を持ったのは、何かきっかけがあったのでしょうか?
◆菅野さん: 私が学生の頃、1980年代ですが、コンピューターは凄まじい勢いで発展していました。テキストや音楽はもちろん、いずれ映像もコンピューターによって作られるようになると感じ、コンピューターと映像を交差する場所で仕事をしたいと思ったのです。大学卒業後TV局に入り、当時はまだほとんど番組にCGは使われていませんでしたが、番組制作にコンピューターを取り入れ、新しい表現にチャレンジすることから始めました。
◆KFC: CGや映像の世界の魅力はどんなところにありますか?
◆菅野さん: デジタル化の急速な発展とともに、コミュニケーションの方法が一変し、メディアやコンテンツの概念も変わりつつあります。こうしたダイナミックな時代の変化を肌で感じられるところが最大の魅力です。映像表現も高度化し、映画のVFX(特撮)やゲームのVR(バーチャルリアリティ)など、人間の五感が膨張していく感覚があります。少し大げさですが、人類が見たことのない景色を作り出せるのはなんとも刺激的です。
tôbaé 幻生社のオフィス
◆KFC: TV局に入社されてからは、スタジオジブリのCG部門の開設も担われて、アニメーションの分野でとても活躍されていますよね? なぜ独立しようと思われたんですか?
◆菅野さん: もともとCGは、アニメーションでこそ価値が出ると考えていたんです。日本のアニメは手描きが前提ですが、コンピューターの方がコスト的にも安く、新しい表現が可能になりますから、2000年頃には日本もCGアニメーションの時代がくると確信していました。そんな意識で1990年代にジブリでCGを担当するようになったんです。
でも、手描きアニメーションの時代は終わらなかった。日本にはCGの時代は到来していないし、本格的なCGアニメーションもない。日本と世界は同じではないんですね。そこで、自分なりの「コンピューターと映像」というアプローチをしてみようと独立したんです。
◆KFC: それで「株式会社 幻生社」を設立されたんですね?
◆菅野さん: はい、2005年に映像制作の会社「幻生社」を設立して、その後2013年にコンピューターのソフトを開発する「合同会社 tôbaé 幻生社」を立ち上げました。「tôbaé 」は「幻生社」の新規事業部的な立ち位置です。「幻生社」は、映像というマーケットが存在しているコンテンツの仕事、「tôbaé 」は新しいメディアづくりに挑戦する、という構図ですね。
◆KFC: 「幻生社」の所在地は渋谷ですよね? なぜ「tôbaé 」では両国の創業支援施設に入居しようと思われたんですか?
◆菅野さん: 東京商工会議所のセミナーに参加したときに、KFCの入居者募集のチラシが入っていて、タイミング的にちょうど良かったんです。もともと中央区の佃に住んでいたこともあって、東東京に馴染みはありました。
墨田区に北斎美術館ができるというのも大きな理由ですね。以前から北斎を映像化できたら面白いだろうなと思っていて、サンプルもいくつか作っていました。浮世絵はアニメの起源だし、北斎美術館の開館がきっかけになって新たな表現に取り組むタイミングやチャンスがあれば・・・と思っているので、役所や地域とのネットワークをもっと構築していきたいです。
◆KFC: KFCクリエイティブスタジオに入居して良かったことはありますか?
◆菅野さん:地域のバックアップが予想以上に積極的だったのには驚きました。創業セミナーやイベントもたくさん開催されているし、一緒に入居している方たちが中小企業の横の繋がりを作ろうとしていたり、役所もとっても積極的です。あとは何といっても環境・設備がすごく良い!低コストで良い環境に身を置きながら、新しいことにチャレンジできるのは本当にありがたいです。
◆KFC: 創業・起業するにあたって、大切なことはありますか?
◆菅野さん: やはり「人との繋がり」が大きいんじゃないかなと思います。経営者になると、サラリーマンのときとは見える景色も見る視点もまるで違いますよね。ものづくりって、単純にいいものをつくれば売れるってことではなくて、環境整備が重要です。新しいビジネスを始めるには、何より人間同士の関係がとても大事になります。
◆KFC: めまぐるしく変化する時代のなかで、菅野さんが生み出していきたいものとは?
◆菅野さん: これまで一般にメディアと言えば、ポストに配達された新聞や、書店に並べられた本、レコード店に陳列されたCD、決まった日時に放送されるテレビ番組・・・といったものでした。ところがいつの間にかスマホさえあれば、ニュースや、小説、音楽、ドラマをいつでもどこでも楽しめるし、即座に他の人々と情報交換することも可能になりました。既に「皆で同じスクリーンを観る」時代は過去のものになりつつあります。コンテンツも、かつてのTVや映画を観て「主人公のストーリーを楽しむ」ほかに、「主人公になりきる」ゲームが登場し、今後はさらに架空と現実の境目が溶けていくでしょう。映像体験も変化して、新しいエンターテイメントが出てくるはずです。いずれにしても、ひとつだけ確実なのはコンピューターを使うこと。時代の変化を敏感に感じながら、コンピューターを使って新しいコンテンツを生み出し、新しい価値を提供していきたいと思っています。
◆KFC: これから創業・起業しようとする方たちにアドバイスをお願いします。
◆菅野さん: 自分のことを俯瞰する姿勢を持って臨むといいと思います。若いうちは「自分は無限の可能性があって何でもできる」と思うけれど、現実にやれることは有限で時間も限られている。「こんないいものがある! こんないいビジネスがある!」と確信しても、100%自分を理解・共感してくれる人なんていないんですよね。常に自分を第三者の視点で見ることが大切だと思います。
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